御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
そして仕事とは別の疲れを感じ、肩にかけているバッグ持ち直して駅へと急ぐ。
「二次会は少し先のバーを予約してるそうですよー」
「え……?」
歩き出した途端聞こえた声に振り返ると、いつの間にやって来たのか塩田が立っていた。
酔いがかなり回っていて顔は真っ赤で目は虚ろだ。菫は思わず後ずさる。
「塩田さん……あの?」
「へへっ。このままひとりで帰らせませんよー」
塩田は満足そうに笑うと、いきなり菫の腕を掴んだ。
「そのバーに行ったことがあるんですけど、地ビールが豊富で雰囲気もいい感じなんです。ほら、御園さんも一緒に行きましょうよ」
菫の戸惑いなどかまわず引きずるように歩き始めた塩田に菫は不安を覚える。
「塩田さん。酔いすぎです。私はこのまま帰るので手を離してください」
「俺、御園さんと一緒に飲みたいんです。というより初めて見たときから気になっていたんですよー。あ、大勢が嫌なら俺とふたりきりってのも悪くないですね。そうしましょう」
「い、いえ、結構です。私、今日は帰りますから塩田さんはこのまま皆さんと一緒に行ってください」