御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「知ってると思うけど、俺は菫を愛してるんだ。それも今言ったようにベタ惚れだ。一生菫から離れるつもりはないし、実家に帰すなんて論外だ」

優しいながらもきっぱりと菫に言い聞かせ、黎は互いの額をこつんと合わせる。

「なにが不安だ? 俺は菫のものだし、たとえ相手が親であっても菫を傷つけるような相手に容赦はしない」

「……ありがとう」
 
熱い吐息に混じって黎の言葉が菫の心に届く。

するとそれまで抱えていた黎への不安があっけなく消えていくのを感じた。

「だけど、お母さんのことが大したことじゃないっていうのは間違ってないかな」

黎はそう言って菫の身体を抱いたまま、ゆっくり起き上がる。

「お腹、大丈夫か?」

黎は一緒に起き上がった菫の身体を気にかけ、手元のブランケットを菫のお腹にそっと置いた。

そしてヘッドボードに背中を預け、両足の間に菫の身体を閉じ込める。

背後から抱きしめられた菫はブランケットを両手で握りしめ、恥ずかしさに身体を小さくした。

背中に感じる黎の体温がやけに熱い。

「で、お母さんの話だけど」

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