御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「ううん、大丈夫。昨日は突然だったからポンコツになっちゃったけど、もう持ち直した。ほんとにありがとう」

明るく答える菫に、笹原は明らかにホッとした表情を見せる。

「まあ、あんな頼りがいのある恋人が側にいれば、パワーチャージはあっという間ですよね」

「そ、そんなことはないけど」

照れて身体を小さくする菫を、笹原は安心したように優しく見つめる。

軽口をたたいているが、菫が尋常ではないほどに落ちこむ姿を目の当たりにして、心配していたのだろう。

「ステーキハウスにはまた日を改めて行きましょうね。あ、ひとまず今日はランチに行きません? 御園さんお気に入りのバーガーショップ、今日リニューアルオープンです」

「本当? だったらおごる。なんならその隣のお店でプリンのテイクアウトもつけちゃう」

「じゃあ、午前中の仕事、さっさと片付けなきゃ」

声を弾ませ早速パソコンに向かう笹原に続き、菫も仕事に取りかかる。

来期以降予定している株主や投資家への情報開示計画の作成だ。

これはIR活動を担当する菫がとくに慎重に進めている作業のひとつだ。

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