御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
菫は長机の上に置かれた資料を見ながら答えたが、まだ半信半疑で首をひねっている。

「あら、信じられない? たしかにうちの株主優待は毎年自社製品の商品券や実用的な商品ばかりだったから当然かな。でも、社長が即決したらしいから冗談じゃないわよ」

そう言ってにこやかに笑う部長の白石は、まるで我が事のように喜んでいる。

広報宣伝部のトップでありいずれ取締役就任も近いと噂されているやり手だ。

仕事で順調に結果を残してきただけでなく大学生の息子がふたりいる五十歳。

女性社員なら一度は彼女に憧れるというのも大げさな話ではない。

菫が長く仕事を続けたいと思うのは、入社以来指導を受けている彼女の影響が大きい。

「ホームページの閲覧数も以前とは比べものにならないくらい増えてるし、話題になると思うのよね」

「そうでしょうか」
 
菫は資料を手に取りページをめくる。

それは次回の株主優待に関する企画書で、三月に発売が予定されている作品集を株主優待のひとつとして配布する案が記載されていた。

「株主さん、喜んでくれるでしょうか」

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