御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました～愛を知らない彼女の婚前懐妊～

「評価はやってみないとわからないけど。今回は株主の子どもや孫をターゲットに決めたのよ」

「あ、折り紙だからですか？　でも、市場規模は小さいし、今話題になってますけど一過性とも思えます」

「かもしれないわね。だけど今は紙そのものに触れる機会が減っているでしょう？　書籍に関しても電子の売り上げが大きくなってるし、ペーパーレス推進でデジタル化が主流。Ａ４とＢ５の違いすらわからない若者がいるって聞いたときには卒倒しそうになったわよ」

身振りを交え熱く話す白石の言葉に、菫も同意する。

書籍だけでなく手紙を書く機会も減っているし、金融関係では通帳削減の動きが加速していると聞く。

製紙会社で働く菫たちにとっては悲しい流れだ。

「だからこそ、この本を株主優待に加えるの。折り紙もつけてね。大人だけじゃなく子どもたちに紙に触れてもらって、電子にはない温かみを知ってもらうのが狙い。……とはいっても、今の世の中電子なしで生きて行くなんて不可能なのが複雑なところよね」

「そうですね。我が社も電子化が進んでますから」