御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「悟先輩、おつき合いしている女性はいないの? 今の会社に結婚を考えてる人とか、地元で長く付き合ってる人とか」

整った容姿はそのままに、今は国内屈指の大企業で働いている。

おまけにいずれは地方とはいえ安定した企業の社長の椅子が約束されているとなれば女性からのアプローチは多いはずだ。

「悟先輩なら私とお見合いなんてしなくても、すぐにでも家族を納得させられる結婚ができると思うけど」

首をかしげる菫に、悟は一瞬表情を曇らせる。

すぐに口元を緩め元通りの軽やかな笑みを浮かべたが、菫はこれまで見たことのない悟を見たような気がした。

「悟先輩?」

「あ、ああ」

悟は曖昧にうなずくと「でもな」とつぶやき腕を組む。

「そう簡単にはいかないんだよね。なんせ頭は固いし強情で、俺がどう攻めても泣き落としで迫っても、自分には幼稚園を守る責任があるって言い張るし。おまけに俺が好きでたまんないくせに別の女と結婚しろとか強(つよ)がってはこっそり泣いててさ。たまんないだろ、あのかわいい女。もうどうにかしてくれない?」

「……え?」
 
いきなり飛び出した悟の言葉に、菫はぽかんとする。

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