御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「だから、悟先輩ならお見合いなんてしなくてもすぐに結婚相手は見つかると思うの。今も誰かいるみたいだし。なのにどうして私にこだわるんだろう」

「あいつの話はもういい。とにかく今後いっさい会うな。今日みたいに突然現れたらすぐに俺に言え。どうとでもするから」

食事を終えた黎が、苦々しい表情を浮かべつぶやく。

「あ、ごめんね。心配ばかりかけて。だけどお見合いする気はないってはっきり伝えたし黎君と会ってわかってくれたと思うから、きっと大丈夫」

「……甘い」
 
気楽に話す菫にため息を吐きながら黎がぽつりつぶやいた。

「え、なにか言った?」

「いや、別に。それより夕食は食べたのか?」

「うん。上手に作れたから我慢できなくて先に食べちゃった。待てなくてごめんね」 

「それは全然かまわない。逆に待たずに食べてる方が安心だ。相変わらず仕事がいそがしそうだから体調には気をつけろよ。まあ、三月はどこも忙しいけどな」

「私よりも黎君だよ。無理しないでね。あ、もう遅いし早めにお風呂に入ってきたら?」

菫は顔に疲れが見える黎が気になり声をかける。

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