御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました～愛を知らない彼女の婚前懐妊～
「いつもそうやって謝れば許してもらえると思ってるだろ･･････まあ、許してしまうんだけどさ。結局惚れたほうが負けってことだよな」

目の前の菖蒲の頭をくしゃくしゃに撫で、悟は仕方がないとばかりに苦笑する。

「許す許さないで片付けられないくらい菖蒲に惚れてる。菖蒲も同じだろ？　だったらもう俺と結婚してラクになれ」

悟はそう言ってコートのポケットから一枚の紙を取り出し座卓の上に広げる。

「結婚しよう」

黎が菖蒲の目の前に差し出したのは、すでに悟が記入を終えている婚姻届だ。

「ほら、今すぐ書いてしまえ」

実物を初めて見る菫は興味津々じっくり眺めた。

これが受理されるといよいよ夫婦になるのだと思うと、妙に神聖な気持ちになる。

菫は自分も記入するなら一緒に記入するのはやはり黎がいいと、強く思った。

するとそわそわしながら菖蒲が記入するのを待っていた悟がしびれを切らし、菫の手元にペンを勢いよく差し出した。

「菖蒲、とにかく早く書いて。そうじゃなきゃ落ち着かないんだ」

気迫のこもった声が部屋に響く。

悟はなんとしてでも今すぐ菖蒲と結婚したいのだ。

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