御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました～愛を知らない彼女の婚前懐妊～

菫は明日、昼の便で戻ってくる黎を空港に迎えにいく予定なので、今日のうちに黎が喜びそうな料理を作っているのだがテーブルの上には隙間なく料理が並び、作りすぎたと苦笑する。
　
ここ最近つわりに波があり、朝起きたときにつらい程度で日中はかなりラクになっている。

そのおかげでこうして料理が作れるのだ。

ひとまず予定していたものすべてを作り終え、菫はしばらく身体を休めようと猫足ソファに腰を下ろした。
　
疲れた身体を伸ばし、お腹の赤ちゃんに「おつかれさま」と声をかける。

それほど変化もなくまだ胎動も感じないが、ここで赤ちゃんは育っている。

そう考えるだけで気持ちが安らぎ落ち着いてくる。

菫はローテーブルの上のスマホを手に取り、お気に入りのクラシックを呼び出した。

天井に設置されているスピーカーから流れ始めたこの曲は、胎教にいいと知って以来、日に何度か聴いている。

「そうだ、イギリスに土鍋って売ってるのかな」

ふと疑問に思い、菫はソファの隅にあったタブレットで検索を始めた。