御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
黎の自宅マンションは宅配業者にかかわらず住人以外の人の出入りに厳しく、届いた荷物はいったん一階フロントが受け取り、その後コンシェルジュが部屋まで届けることになっている。

きっとそれを届けてくれたのだろう。

菫は急いで玄関に向かった。

「毎日すみません。ありがとうございます」

このところ毎日なにかしらの荷物を部屋まで届けてくれる女性のコンシェルジュに菫は深々と頭を下げる。

仕事とはいえ、頻繁に届く荷物を運ぶのは大変だろう。

「とんでもありません。他にもなにかあればいつでもお声がけください」

コンシェルジュはにこやかにそう言って立ち去っていく。

菫はその姿を見送りそっと玄関のドアを閉めた。

届いたのはそれほど大きくない包みで、菫は送り状を確認して「これ、待ってたのよね」と声を弾ませリビングに戻った。

早速開梱し取り出したのは、手のひらサイズの翻訳器。

スマホよりもひと回り小さなそれは、話した言葉を音声とテキストに翻訳してくれる便利な機械だ。

以前笹原が海外旅行に便利だと言っていたのを思い出し注文していたのだ。

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