御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「私はキスをして、もったいなかった二年間を少しだけ取り戻したから、次は黎君の番。というよりも、この先のことも、私も一緒に取り戻したい。だから――」

菫の決意がこめられた言葉は、黎の唇によってあっけなく奪われた。

「菫、幸せにする。それこそこの二年を取り戻す以上に愛するよ」

黎のキスは情熱的だった。

これまで何度か交わしたキスなど嘘のように熱く、呼吸ができないほど深く口づけるのだ。

不慣れな菫が応えられるギリギリまで追い詰め、限界間際で唇を解放する。

けれど菫が何度か呼吸をしたのを確認すると、再び唇を重ね菫の思考をあっけなく粉々にし、黎のことしか考えられないようにしてしまう。

「は……っん」
 
首筋に唇を押し当てられ、菫は背中を走る痺れに声をあげた。菫自身も求めて抱かれているというのに、想像以上の快感が続き、恥ずかしい声が我慢できない。

まだキスだけ。なのに全身がかあっと熱を帯び、自分の身体ではないみたいにつま先がぴくぴく跳ねている。

「黎君……」

菫はベッドに押しつけられた身体を微かに動かし、力なく黎の首に腕を回した。

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