御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
それだけで微かな痺れが走り、思わずこぼれ落ちそうな声をぐっとこらえた。

「それ。今声を我慢しただろ。そんなことしなくていい。逆効果だ」

黎はいつもより艶のある声でささやき、もう一度、今度は耳たぶにキスを落とす。

「んっ」

目尻以上の痺れに、菫はつい声を漏らした。

「それでいい。なにも我慢しなくていいから。声も・・・・・・痛みも」

菫を映している黎の瞳が不安げに揺れる。

「やっぱり、痛いの?」

「らしいな。だけど我慢せず泣いていいから」

「泣いたら、黎君、やめるの? それは嫌。私、黎君とちゃんと愛し合いたい」

深いキスだけで黎の特別になれた気がしたのだ、身体をつなげたときの喜びはそれ以上に違いない。

その喜びを知りたいのだ。

菫は首を横に振り、黎の顔を両手で包みこんだ。

「痛くても泣かないし、我慢するから。だから最後まで、ちゃんと抱いてほしい」

「なっ……」
 
熱に浮かされたような菫の言葉に、黎はこらえきれず菫の身体の上にくずおれた。

「頼むよ。これ以上煽るな」

「え?」

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