気付いたら有名な婚約破棄のシーンだったので傍観者になってみようと思ったけれど、婚約破棄された悪役令嬢がいい娘すぎたのでちょっとだけ彼女の幸せを願ってみた
「それの罪を、先ほどから読み上げている」
「罪? 罪とはそちらのジェシカ嬢に対する嫌がらせのことか。たしかジェシカ嬢は王家の者ではないと思っていたのだが」
「今は、な。だが、ジェシカはこれから王家の者となる。これからこの私の正式な婚約者となり、妻となるからな」
「なるほど」
ふむ、とディオンは右手を顎にあてた。
「ユカエル。こちらに来なさい」
うわ、まさかこのタイミングで呼び出しを食らうとは。ルミューの後ろの小動物なんか「ユカエルまでいるの?」なんて呟いているよ。
「はい」
ユカエルが返事をすると、彼女の前の人たちがさーっと引いて両国の皇太子までの道ができあがる。何、このレッドカーペット的な道、と思いながら、黒くて長い髪を見せびらかすように堂々と歩く。さらにドレスも黒だった。真っ黒。ちなみに今日は、腹の中も真っ黒だ。
「罪? 罪とはそちらのジェシカ嬢に対する嫌がらせのことか。たしかジェシカ嬢は王家の者ではないと思っていたのだが」
「今は、な。だが、ジェシカはこれから王家の者となる。これからこの私の正式な婚約者となり、妻となるからな」
「なるほど」
ふむ、とディオンは右手を顎にあてた。
「ユカエル。こちらに来なさい」
うわ、まさかこのタイミングで呼び出しを食らうとは。ルミューの後ろの小動物なんか「ユカエルまでいるの?」なんて呟いているよ。
「はい」
ユカエルが返事をすると、彼女の前の人たちがさーっと引いて両国の皇太子までの道ができあがる。何、このレッドカーペット的な道、と思いながら、黒くて長い髪を見せびらかすように堂々と歩く。さらにドレスも黒だった。真っ黒。ちなみに今日は、腹の中も真っ黒だ。