気付いたら有名な婚約破棄のシーンだったので傍観者になってみようと思ったけれど、婚約破棄された悪役令嬢がいい娘すぎたのでちょっとだけ彼女の幸せを願ってみた
そんなユカエルを会場の外で待っていたのはトビンセン国王付きの護衛騎士で、彼に案内されて別室へと連れていかれてしまった。
そこには情けない顔をした父親と、難しい顔をしたリアスト国王がいる。
「ユカエル、なぜ言ってくれなかった。こんなことなら、無理やりにでも連れ戻すべきだった」
「お父様、ご心配なさらずに。他の方はとても親切にしてくださいましたから。とくにシエラさん。お兄様とシエラさんの婚約を正式にお認めになってくださいね。お兄様とシエラさんが結婚されたら、シエラさんは私のお義姉様ですね」
うっとりとユカエルは両手を合わせている。一体どのような妄想を繰り広げているのか。そんな彼女の夢見心地をぶった切ったのがリアスト国王。
「その、愚息がご迷惑をおかけした」
頭を下げる。
「頭を上げてください、陛下。クソ皇太子……じゃなかった、ルミュー殿下は私には何もしておりませんから」
そう、ルミューは何もしていない。むしろユカエルのことを皇女とさえも認識していなかっただろう。留学生のディオン殿下とその部下、みたいな位置付けだったはず。
「すべての元凶はあのジェシカ嬢ですから。ルミュー殿下をたぶらかし、他の生徒会の皆さんも手玉にとっていたジェシカ嬢ですよ」
と首を傾け、優雅に笑んだ。あれ、私、ちょっと悪役っぽくない? とユカエルは思ってみた。だって私は裏ボスですものね。
そこには情けない顔をした父親と、難しい顔をしたリアスト国王がいる。
「ユカエル、なぜ言ってくれなかった。こんなことなら、無理やりにでも連れ戻すべきだった」
「お父様、ご心配なさらずに。他の方はとても親切にしてくださいましたから。とくにシエラさん。お兄様とシエラさんの婚約を正式にお認めになってくださいね。お兄様とシエラさんが結婚されたら、シエラさんは私のお義姉様ですね」
うっとりとユカエルは両手を合わせている。一体どのような妄想を繰り広げているのか。そんな彼女の夢見心地をぶった切ったのがリアスト国王。
「その、愚息がご迷惑をおかけした」
頭を下げる。
「頭を上げてください、陛下。クソ皇太子……じゃなかった、ルミュー殿下は私には何もしておりませんから」
そう、ルミューは何もしていない。むしろユカエルのことを皇女とさえも認識していなかっただろう。留学生のディオン殿下とその部下、みたいな位置付けだったはず。
「すべての元凶はあのジェシカ嬢ですから。ルミュー殿下をたぶらかし、他の生徒会の皆さんも手玉にとっていたジェシカ嬢ですよ」
と首を傾け、優雅に笑んだ。あれ、私、ちょっと悪役っぽくない? とユカエルは思ってみた。だって私は裏ボスですものね。