褒めて愛して支配して
「"Down(伏せ)"」

 他の生徒が見ている中での遠慮のないプレイ。従いたくないのに体が勝手に動いてしまい、俺はまるで土下座をするように両腕を床についていた。呼吸が乱れる。

 俺は今、どんな目で見られているのだろう。彼らは今、どんな目で俺を見下ろしているのだろう。次は、ちゃんと、褒めて。

 過敏に反応する体と、涎が垂れそうになる口元。好きでもない奴に褒めてほしいなんて、支配してほしいなんて、狂ってるとしか言いようがない。Subの本能が、俺の思考を簡単に狂わせる。

 全身が熱くなる中、ふと、俺で遊ぶ彼らとは違う強い気配を感じた。頭上から、鼻で嗤うような馬鹿にした吐息が落ちてくる。あ、柏木(かしわぎ)、と男子生徒の恐れを抱いたような震えた声が聞こえたその直後、不躾に頭を押さえ込まれ、いや、何かで踏まれるような圧力をかけられ、額が冷えた床に押しつけられた。

「床、"Lick(舐めろ)"」

 先程よりも強い衝撃。強いコマンド。俺の頭を踏んでいるであろう男の声が、鼓膜を突き破るように脳内に轟いた。

 は、は、と高揚感を覚えながら、俺は平伏したような状態で。おずおずと口を開けて濡れた舌を出し、埃の被った床を舐めた。また、微かに、嗤われる。
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