カリスマ美容師は閉ざされた心に愛をそそぐ
◇◇◇
一ヶ月会えてない…。
スタッフ会議に、アシスタントの育成。仕事が忙しく帰りも遅い。
だから、弁当屋はすでに閉店時間を過ぎている。店の前で何度ため息を漏らしたことか…。
配達をお願いしても月は全く来ない。だから余計にため息も深く長くなる。
少しでも顔を見られると思ったのに、今日もダメか〜。
配達に来れない理由を知りたいのに、俺は月の連絡先さえ知らない。
月からきっと俺に連絡をしてくれるとおもっていたのに、甘く考え過ぎていたようだ。
月に会いたいのに…会えない…
ふぅ~…。
一歩の勇気が湧いて来ないなんて、こんな俺は初めてだ。
◇◇◇
『最近、辻本さんが来てくれ無いけど、ケンカでもした?』
突然伯母さんさんからそんな話を仕事中に振られてビクッとした。
なんて答えたら…
「う〜…ん、なん…か、仕事が…忙しい…じゃないかなぁ〜…』
曖昧に、苦笑いで返すしかない私。
このままでいい、このままで。