カリスマ美容師は閉ざされた心に愛をそそぐ
「とくのり弁当でまーす」
『W3個お願ーい』
「ハーイ!」仕事に夢中の時間は色んなことを忘れられる。
『いらっしゃいませー』
「からあげ上がったよー!」
『あんたー美容室から配達の電話入ったよー』
「おーー」
配達が入った、どうしよう…、先日辻本さんと約束したばかり、行くしかないのかなぁ…。
心が何だか重い。
『いらっしゃいませーー!』
「すいません、ここのからあげが美味しいと弟から勧められて来たんです」
『それは、ありがとう御座います。一個からでもお弁当でも、どちらでも用意出来ますよー』
おばさんの明るい声が厨房まで聞こえてくる。
「このW弁当?の中身は何ですか?」
『塩からあげと醤油が2個ずつ入ってオススメですよ!』
「それを2個お願いします。弟にも持って行きたいので!」
キレイな声の女性。
『W2個お願い!』
「5分、お時間下さい」とレジに向かって声を掛ければ、店内にいた女性はあの時の辻本さんの隣にいた…。
心臓がドクンと強く波打つ。
まさか…こんな近くで会うなんて。
本当にキレイな人。
近くで見るとその綺麗さが際立って分かる。
ちょっと羨ましくなってくる。