カリスマ美容師は閉ざされた心に愛をそそぐ
寂しくて、寂しくて大翔を思い出す。思い出したいのに何故かハッキリ思い出せない。
私の中の記憶にノイズが走り邪魔をする。
大翔の顔を思い出したい、そう思えば思うほど見えてこない。
何で声さえも記憶から聴こえてこないの。
私を呼ぶ声を思い出したいのに…
スマホに残っている声を再生し、大翔の声を聴けば、自分の中に違和感が走る。
“こんな声だった”
間違いなく、彼の声のはずなのに、心の中の私が違うと否定する。
聴きたい本当の声はと自分に聞いて見れば、ノイズが邪魔をしていたのに、記憶が鮮明になり、そこに浮かんできたのは……!
“辻本さんの顔だった!”
心臓の音が強く早くなり、自分で自分を否定する。
違う、違う、違う…!
そう思うほど心臓が高鳴り、心の記憶
の映像は辻本さんを映し出す。