カリスマ美容師は閉ざされた心に愛をそそぐ
「あの…失礼かも知れませんが、月の側に居てもいいですか?」
「月が目が覚めた時、勝手に入ったと怒られるかも…知れませんが…」
う〜んといいながら…
『お店が終わるまでお願いしても?私も安心だわ』
そっと部屋のドアを開け中に入る。
コートを脱いでイスに掛け、部屋の中はエアコンで暖かい。
月の顔を見ればグッスリ寝ている。
ベッドの横に座り顔を覗き込む、触れたい思わず手を出しそうになり、ぐっと自分にブレーキをかけ。
何だ?涙の跡?
ガサっという音がしたと思ったら、茶色の丸々としたネコが、俺をじっと見つめなからスタスタと月の布団の上を歩く。
布団の隙間から潜り込み、そして顔を出す。
俺にずっと視線を向けてくる。
何となくニヤッとされたような…
まさかと思うが、俺から月を守ろうとしている?
おまえが邪魔で月の顔が良く見えない。
涙の跡らしきモノをハッキリと確認したいのに、ネコのデカイ顔が邪魔をする。
“クッソー!”
月を守るのは俺!
まさか、俺が部屋に入ることを許してくれたのはネコが居ると分かっていたから…!
何となくため息が漏れる。