カリスマ美容師は閉ざされた心に愛をそそぐ


 あのキレイな女性はこんな気持ちなんて、感じたことなど無いだろうなぁ…


 沢山の女性が振り向くほどの辻本さんの彼女だもん、悩みなんてね。


 いまは殿ちゃんのほんの少しのぬくもりが、私をちょっと元気にしてくれる。


 大きな腕はない、人とくらべたら小さな体で、抱きしめているのは私だけど…


 きっと心は殿ちゃんに抱きしめられている。



 殿ちゃんは私の彼氏だね!


 短いしっぽで私の顔をなでなでし、ザラザラした舌で眉間をペロリ。


 今度は丸々とした体で、私の顔にドスッと寄りかかり。



 “お、も、いー”


 喉をゴロゴロとしながら満足そう!


 そんなことをされたら、笑いたくなってくる。


 いつしか殿ちゃん“おもいよー”と笑いながら声に出していた。
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