カリスマ美容師は閉ざされた心に愛をそそぐ


 うまく言葉が出てこないけど、俺の腕の中の月は、思っていた以上に華奢で。


 ギュッと抱きしめたら、折れてしまいそうで、だから余計に守ってやりたくなる。


 初めて月を見たときから、言葉をかわし心の距離を縮めたいと。


 俺という存在をどうにかして、ずっと知ってほしかった。


 俺のなからやっと出た言葉はやっぱり「…ひ、な…」


 耳元で甘くささやき。

 ピクッと月の肩が僅かに反応する、たったそれだけなのに、幸せだなんて思える俺。






 「ーーつじ…もとさん、はな…してくださいーー」



 「イヤだ、離したくない」


 もう少し俺の腕の中に…居てほしい。


 月を甘やかしたいと思っていながら、俺が甘えたいのかも、彼女の甘い香りが俺を包んでいく。



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