カリスマ美容師は閉ざされた心に愛をそそぐ
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あの頃の私は彼が大好きで、大好きで、どんなに悩みごとで落ち込んでいても、彼に “月” と呼んでもらうだけで笑顔になれる。
彼の声は風のように優しく、森のように爽やかで、時には甘く耳もとで囁かれ、嬉しくて嬉しくてその腕の中に、何度も何度も飛び込んで行った。
腕の中は温かく心から癒やしてくれて。
甘えてばかりいたあの頃。
彼のお嫁さんになることが、目標であり夢だったのに…
毎日ただ普通に過ごしていただけ。
二人で映画を観たり、水族館、花見、思い出は沢山ありすぎて切りが無い。
寂しさに負けそうになると、必ずスマホを操作し彼の声を聞く…
27歳になったのに、私は20歳の心のまま。
彼以上に好きになる人なんていない。
心にポッカリ穴が空いたままで、誰かに埋めて欲しいとは思わない。
側にいて抱きしめて欲しいのは彼だけ。
……大翔だけ!
大翔にもう一度抱きしめられたい!
叶わない願いでも……