カリスマ美容師は閉ざされた心に愛をそそぐ

 学食でいつものように、お弁当を食べようとしていたとき。


 『おれ、大翔、東條大翔、その厚焼き玉子一個ちょーだい!!』


 いきなり私の前の席に座り、分けが分からずポカンとしていると。


 『おれ、厚焼き玉子大好き何だよ!だ、か、らお願い!』


 なんだかその必死さにクスクスと、笑いが込み上げてきちゃって。


 『笑うとかわいいーなおまえ、笑ってろ!」


 “なっ、なにをいきなり”


 私はちょっとムッとした顔になり、「“おまえ”ではなく、川瀬月です」


 『月、玉子焼きもーらい』


 どこから、持っていたのかマイ箸で、パクリ。


 顔がどんどんしわくちゃになっていき、私は味が悪かったのか、それとも何か変な物でも入っていたのか。


 こっちはハラハラ。


 『うめ〜〜え〜!』


 “っ…へ”


 『もう一個』


 私はいつの間にか大笑いをしていた。


 いつぶりだろう、こんなに笑ったの、何この人!、もう変な人!


 誰かに私の料理が美味しいと言ってもらえたのは、本当にに嬉しい?!


 本当に嬉しかった。


 だって、料理を作るのは大好きだから。


 これが大翔との最初の出合い、そして忘れられない初恋のはじまり。


 桜の花のようにゆっくりと咲き乱れ、あっという間落ちていった。
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