カリスマ美容師は閉ざされた心に愛をそそぐ

 豚と大根の煮物はうまかったぁー。

 月は料理が得意なんだな、さずが弁当屋。すっかり俺の心と胃が癒やされた。


 仕事でいつも逆の立場だから。



 月に見合いの話しがあったとは、田舎の両親ならいつまでも独身でいる娘は心配か…。


 だけど俺が伯母さんの前で、いかにも彼氏ですなんて態度をしていたら、隣の月はオドオドしたり、言葉に詰ったり見ていて愛らしかった。

 
 何度も抱きしめたくなったことか。



 伯母さんからいつでも食事にどうぞと誘って貰えたのは、嬉しかった。


 あの味は癖になる。


 それに月の表情も見ていて飽きない。


 あ〜早く可愛くしてやりたい。


 今以上に、月は自分が表情豊かでカワイイ女性何だと、全く分かっていない。


 まぁ〜、可愛くなりすぎて他の男の目にとまるのも、困りもんだけどな。


 あ〜でも可愛くなった月も見たい。

 
 初めて店に配達に来てくれたあの日から、ずっとそう思っていた。


 やっと少し月に近づけた、そう思いたい。
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