月の砂漠でプロポーズ
「だっ、大丈夫! 諒さんに見惚れていただけだからっ」

 慌てたあまり、本音を叫んでしまった。
 諒さんは一瞬目を丸くすると、にやりと悪い笑みを浮かべた。

「俺のアピールは成功したってことか」

 大成功ですよ!
 ぱさり、とバスタオルが体にかけられた。

「安心しろ。ここはイスラム教圏だ。おいたはしないよ」

「……い」
「ん?」
「眠りますっ」
「ああ」

 してほしいなんて言えるわけがない。
 
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