月の砂漠でプロポーズ
しばらくじゃれ合っていたら息がきれた。
 ふうう、とけだるい余韻にふたりとも戻っていく。

「也実は……渡海グループの一員になることに、不安はないのか」

 遠慮がちな声が頭の上でした。

「それは不安だらけに決まっています」

 私の返事に息をのむ音がした。

「でも、どんな人生を歩んでも、トラブルはつきものですから」

 避けては通れない。
 だったら、どうしたら最小の被害で済むかを考える。

「そうか」

 嬉しそうな声と同時に力強く抱きしめられた。
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