月の砂漠でプロポーズ
「諒さんが私を好きなことのほうが不思議です」

 絶対に片思いだと思っていた。

「そうか? 自明の理だと思っているんだが」

 かえって不思議そうに言われてしまった。

「だって、渡海の名前に飛びつかない女の人だったら、誰でもよかったんじゃ……、ふぐっ」

 鼻をつままれた。

「きっかけはそうだったとしても、もう也実に囚われてしまった。今後、俺に興味のない女性に出逢ったとしても、いちいち恋に堕ちないよ」

 うわぁ……。

「也実?」

「諒さんて、愛情表現ストレートですよね……」

 心臓直撃ですよ。

「出し惜しみしても仕方ないだろう」

そういうところです。
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