月の砂漠でプロポーズ
「で?」
「うん。諒さんてこんなに笑う人だったんだな、て」
「ああ」

 諒さんは破顔した。

「也実といると、自然に笑うことが出来る」

 私が貴方を寛がせているなら、とても嬉しい。

「ツアーは十時からだそうだから、食べ終わったら支度しないとな」
「わかった!」

 タクシーでジュメイラモスクまでいく。
 渋滞を見越して三十分前についた。
 |二つの光塔《ミナレットの中央に丸い屋根の礼拝堂を擁した、ドバイでもっとも美しいと言われるモスク。
 アラブ独特の紋様が刻まれた細かい装飾。
 建物の周りは立派なタイルが敷き詰められている。

 想像していた、アラビアンナイトのような建物だ。
 開始の十五分前までに受付をすませ、始まるまでロビーでくつろぐ。

「わ、デーツ! アラビアン珈琲もある」
「寛容だな」

 タイでもお坊さんがマッサージを信徒に施すというし、勿論お布施は払うのだろうけれど。
 宗教って訪れた人々を受け入れるものなのかもしれない。
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