月の砂漠でプロポーズ
「ドバイファウンテンショーを見てみようか。昼と夜では雰囲気が違うそうだから、まずは明るい光の中で」

「ぜひ!」

 人造湖のブルジュに世界的な噴水会社を招聘して造り上げたそうだ。
 曲に水が従う様は水が生きて意思を持っているように見える。
 世界一高いビルの三分の一にも迫る高さを誇る水のショーは圧巻だった。

「……ドバイは水が豊富にありますね」

 砂漠だし、周りは海なのに。

「ドバイはサウジアラビアについで、世界第二位の水の生産量を誇るんだ」
「え?」

 水を作る?

「造水プラントで塩抜きを行い、海洋深層水を二十四時間淡水化して供給している」

「そういえば、水道水飲めるって書いてましたね」

 臭みもなくて味もしないけれど、管理の問題のほうで、観光客はミネラルウオーターを買った方が安全とも書いてあった。

「アジアで日本以外に水道水が飲めるはのUAEだけなんだそうだ」

「飲んでみようかな」

 つぶやいただけなのに、諒さんに顔色を変えて心配されてしまった。

「冗談です」

 言ったら、くい、と顎を上向きにされてキスされてしまった。
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