月の砂漠でプロポーズ
「……公道でキスしたら怒られるのでは」
「也実次第だな」

 ううう。
 私がヘマをするとキスされるのか。
 されたいけれど、警察に起こられるのは嫌だな。

「たゆまぬ努力で成長してきたドバイにも食糧の自給問題とか、交通事故とか色々あってね。そこに食い込む企業との争いもある」

 諒さんの目が遠く、厳しいものを見ている。
 きっと、企業法務を扱う彼の腕の振るいどころであり、調整力を要求される場面なのだろう。

 くい、彼の服を引っ張った。

「うん?」
「諒さんはなんで弁護士を目指したの」

「移動しようか」

 諒さんに肩を抱かれて歩き出しだ。
 レストランに落ち着いてから、オーダーを済ませると話してくれた。
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