月の砂漠でプロポーズ
そして私はそのまま抱きかかえられて部屋へと連れていかれたのだった。

 アラブとラグジュアリーの合体というのだろうか。
 美しく彫刻された木製の階段と手すり、テーブル。 白い漆喰と、あめ色の対比が落ち着きと格調の高さを醸している。
 ガラスのシャンデリアに照らされているのはペルシア絨毯。

 諒さんにかかえられて入った部屋も、アラビアンナイトの世界のようだった。

「ここがあるから、今までのホテルはあまりアラブっぽくない雰囲気にした」

 確かにいままでのホテルはヨーロッパのようなアンティークっぽかった。

 室内もテントを模した天井と柱がアクセントとなっている。
 重厚な彫刻のされた、木製のキングサイズのベッド。

 ベッドにそっとおろされると、すぐに彼の腕の檻に囲われた。

「今日はベッドルームは一つ。だから逃がさない」

 獣のような眼で私を見つめる諒さんが愛おしい。
 食べて、と言いそうになる。
 と、きゅるるるる……とお腹が抗議してきた。

「まずは也実を食べる前に、食欲を満たそう」

 シャワーを浴びておいで、と追いやられた。
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