月の砂漠でプロポーズ
 仕事を終えて空港に着いた。
 これから、ドバイに向けて出発するのである。
 一週間のヴァカンスは目の前だ。

「ふふー。どーばい、ドバイー。ドバイが私を待っているぅー」

 なんて節をつけて呟いてたら、ちらっと見られた。 いけない、調子に乗って声が大きくなっていたらしい。
 仕方ないじゃない。
 十六時間労働×月間二五日×六ヶ月したうえでの休暇だよ? 浮かれて鼻歌の一つも出る。

 私は旅が好き。
 五か月働いたら国内外問わず、一か月貧乏旅行する。
 あるいは三か月働いたら、一週間海外の星つきホテルに泊まる。

 大学を卒業して以来、そんなライフスタイルを繰り返してきた。

 昔は
「暑い地域は夏、寒い地域は冬に行くべし! 厳しい季節に行ってこそ、その土地の本当の貌が見える」
 なんて生意気なことを思っていた。

 しかし、オーロラやスキーをしに寒い処のウインターシーズンに行くのはともかく、暑いところへ夏に行って地獄を見た……。

 にわかで、すみません。
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