月の砂漠でプロポーズ
私が呆然としているうちに、渡会さんはフロアに三つしかないというドアの一つにカードキーをあてた。
ぱっと、電気がつく。
「うわ……!」
玄関がすでに私の部屋くらいある!
普通のマンションより天井も高い。三メートル以上はあるだろう。
バリアフリーだけど床の色が変わっているあたりで渡会さんが靴を脱いだので、私も倣う。
多分、シューズクローゼットなんだろうけど、一番上の棚は私の頭より高い。
渡会さんが屈んで靴を一番上の棚に置いた。彼なら普通に届くんだ。
……なんだろう。
渡会さんの背中を見て、ドキドキする。
逞しくて、広い背中。けれどしなやかに動く。
海外で迷子になったとき案内してくれた現地の人が強面すぎて、『生きて帰れないんじゃないか』と思ったときのドキドキ感より激しい。
この人は味方じゃない。
けれど行くあてのない私を家に呼んでくれた。
わかっている、私が『重要証拠人』だからだ。
林と私が接触するときか、確認しやすいから。
そして証拠隠滅しないか、見張りやすいからだ。
ぱっと、電気がつく。
「うわ……!」
玄関がすでに私の部屋くらいある!
普通のマンションより天井も高い。三メートル以上はあるだろう。
バリアフリーだけど床の色が変わっているあたりで渡会さんが靴を脱いだので、私も倣う。
多分、シューズクローゼットなんだろうけど、一番上の棚は私の頭より高い。
渡会さんが屈んで靴を一番上の棚に置いた。彼なら普通に届くんだ。
……なんだろう。
渡会さんの背中を見て、ドキドキする。
逞しくて、広い背中。けれどしなやかに動く。
海外で迷子になったとき案内してくれた現地の人が強面すぎて、『生きて帰れないんじゃないか』と思ったときのドキドキ感より激しい。
この人は味方じゃない。
けれど行くあてのない私を家に呼んでくれた。
わかっている、私が『重要証拠人』だからだ。
林と私が接触するときか、確認しやすいから。
そして証拠隠滅しないか、見張りやすいからだ。