月の砂漠でプロポーズ
 渡会さん宅居候生活一週間目。

 渡会さんから、何種類もの店を回っているとの報告メールがあった。

「うわー、まめだ。まさか、自分で?」

 アシスタントにやらせてるんだよね?
 と質問をしたら、なんと自分で歩き回っているのだという。

「私のことですから! 私が探します!」
 とメールをすれば。
『高畑さんは、引き続き部屋から出ないように』との指示があった。

 …………ハイ。
 まだ、私は重要参考人なのだ。
 居心地のいい渡会さんの部屋にこもっていて忘れかけていいたが、警察も渡会さんも、私を犯人だと五十パーセント以上考えているのだろう。

 肝が冷えた。

「弁護士さんて、刑事さんみたいですね」と嫌味メールをしたら、
『足で稼ぐか、NETで調べるかの違いだけだし、俺にはパラがいないからな』という生真面目な返事だった。
 渡会さんとのやりとりを終えてから首をひねった。

「……パラ? アシスタントや助手ではなくて?」
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