月の砂漠でプロポーズ
渡会さん宅お掃除生活二週間目。

  客室は完全制覇。
 隣のジム室は一日で済んだ。
 器具を拭くタオルも、床を綺麗にするモップや器具の手入れ器具が備え付けのクローゼットに入っていて合理的。

 全室エアコン付きで、客室もそうだったけどジム室のエアコンも埃くらいだったのでお手入れ簡単だった。

 倉庫兼パントリーはがらんとしている。
 雑然としているわけではなく、取り出しやすくてわかりやすい。
 真面目な性格なんだろう。
 ここも空気を通して埃を払えば完了。
 洗剤と緊急時食品とおぼしきもので賞味期限が切れていたものは廃棄し、買い替えた。

 サニタリースペースは浴室とトイレは一日ずつにわけた。
 ランドリースペースにも一日かけた。
 もうね、鏡やステンレス部分ぴっかぴかですよ。
 指紋一つ、水曇り一つ許さないわっ。

「ふうっ、満足!」

 渡会さん、この美しき洗面所に感嘆するがよいわ!

「……いつ、見てもらえるのかな」

 私がいる間、彼は自分の家なのに一度も訪れないつもりなのだろうか。

 これだけ私が住んでいても、通販の配達以外誰もこないから、恋人がいないのは本当かもしれない。
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