月の砂漠でプロポーズ
「単に彼女さんちに同棲しているだけかも……」

『潜りこめる寝床はある』って言ってたもの。
 そうでしょうとも!
 絶対に引くて数多だものねっ。

「いかん。落ち込んできた」

 私にはそんな権利はないのに。

「……私がこの家からいなくなったら。渡会さんは恋人とこの家で過ごすのかな」

 私が綺麗にした部屋で見知らぬ人と?

「そんなの、やだ……っ」

 振り向いてくれないかな。
 可能性はゼロパーセントとわかっていても、願わずにはいられない。
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