月の砂漠でプロポーズ
諒side
「まずい、高畑さんが気になって仕方がない」

 こういうのを、世間では『ギャップ萌え』というのだろうか。
 高畑さんを俺の自宅に送ったあと、事務所に戻りながら考える。

 従兄に愚痴をこぼせば、『持てる者の贅沢な悩みだな』と言われた。
『手に入らないもの、なびかない、ものに惹かれる気持ちはよくわかる』とも。

 本当に俺は彼女を手に入れられないのだろうか。

「いや、これからだ」

 それにしても恋に浮かれるなんて、いつぶりだろう。
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