月の砂漠でプロポーズ
 一方、警察は林を指名手配していたが、海外に行ってからの奴の足取りはつかめていない。

 銀行口座を凍結している筈だから、クレジットカードもTC(トラベラーズ・チェック)も使えないはずだ。
 女性達からだまし取った金をキャッシュで持ち歩いているのか。

 一か月後。
 あいつが逮捕されるときには、高畑さんの無罪を確定しておきたいと努力していたのが結実するときがきた。
 林が借用書に捺印されていた印鑑を購入した事実が確認できたのだ。

 合わせて刑事から筆跡鑑定及び指紋認証の報告がもたらされたとき、ガッツポーズをしてしまった。

 高畑さん、君を口説く準備は整った。

「……俺はいつのまに、彼女に惚れていたんだろう」
 
 会ったのは、最初の日だけだ。
 彼女の声が聴きたい。色々な表情を見せてほしい。
 
俺の腕のなかにいつまでもいてほしい。
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