月の砂漠でプロポーズ
偽装プロポーズ
 三日ほど市販の薬を飲んだだけで、渡会さんは回復した。

「病院行ったほうがいいんじゃないですか?」

 心配しても、軽くいなされてしまう。

「保険入ってないとバカみたいに高い医療しか受けれない国に行ったり、そもそも病院が半径五〇キロメートロ以内に国に行ったりしてるからな。必然的にタフにならざるを得ない」

 あー……、わかる。

「けれど、ここは日本です。いい機会だから一日ドックとかしたらどうですか?」

 海外に行ったとき、虫歯治療したときの銀歯が外れたことがあって、死ぬかと思った。

「長期海外に行く前は親友の病院に行ってるよ。……心配かけたな」

 ふわりと手が伸びて、頬に添えられた。
 わ、渡会さんの瞳がとても柔らかい。
 甘さを湛えているのは、私の妄想だ。

「な、ならいいですっ」

「也実、ものは相談なんだが一緒にドバイに行かないか?」

 誰か、噴火しなかった私を褒めてほしい。
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