月の砂漠でプロポーズ
 支えてあげたい。

「じゃあ、時間ありませんねっ。さっさと支度して、区役所に行っちゃいましょう!」

「……也実?」

「ほらー、どこの区で提出するんですか? 戸籍謄本、とっとと取らないと出発までに間に合わないんじゃないですか?」

「ああ」

「あ、チケット! 私の間に合うんでしょうか」

「全て俺が手配する。也実、申し訳ないが本籍は俺のほうに入れてもらっていいか?」

「オッケーです!」

 すぐに区役所に戸籍謄本請求用紙をダウンロードしなければ。
 速達・速達で出せば、なんとか三日後くらいに届くかもしれない。あ、無記名の郵便為替も必要か。

 ……しかし。
 この前までは結婚詐欺の片棒担いでいると思われ、今回は諒さんの偽装妻をする羽目に。
 私の人生、特盛過ぎない?

 まあいいか、トラベルにはトラブルがつきもの。
 さて、闘いのゴングが鳴った。
 諒さんの幸せな人生の為に、頑張るぞー!

 ……とはりきる心のすみっこで、渡会さんが私のものになってくれるといいな、とも願っている。

 そんなこと、あるわけないのに。

「よしっ、張り切っていきましょー!」
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