月の砂漠でプロポーズ
新婚旅行
 というわけで、四日後。

 私を車中に待たせておいて、渡会さんじゃなかった諒さんが区役所に婚姻届を提出した。
 旧姓高畑也美(たかはた なりみ)、改め渡会也美(わたらい なりみ)になりました。

 その足で成田に向かい、夜の十時半にドバイへ向けて出発。

 なんとか飛行機のチケットが取れたのである。
 しかもファーストクラスですってよ、奥様!
 たとえ、現地で五つ星のホテルに泊まってもビジネスまで。ファーストなんて取ったことないよー。

 写真撮りまくる!
 CAさんにケットを持ってきてもらう!

「也実?」

 ……こほん。

「なんでもない」

「悪い、席を外す。俺に構わず、案内されたら飛行機に乗ってくれ」

「うん」

 諒さんとは別便なのかな。
 もしかしてこれから令嬢に会いに行くのかもしれない。

 もやもやもや。

 でも、諒さんは令嬢とは結婚したくないんだもの。その為の話し合いなのかもしれない。
 いずれにせよ、私はここにいることしかできない。
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