皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 本当にそれだけを言って立ち去る。騎士団長とは忙しい立場にあるのだ。

「お前、団長に何をしたんだよ」と、小さな声でロビーが言う。

「だから、婚約の申し込みを」と、エドガーが答える。

「団長に?」
 なぜこの男はすぐにこういうことを言うのだろう。

「んなわけあるか。団長の娘だ」

「え? 団長の娘って。あのゴリラのマーティンの妹ってことだろ? あのマーティンそっくりの」

「お前、失礼なヤツだな。立ち会いするなよ」
 エドガーはさらにロビーを睨みつける。

「いや、団長に頼まれたからには立ち会う。マーティンの妹、見てみたい」

 エドガーはもう一度、ギロッと睨んだ。

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