皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
☆☆

 婚約の儀とはお互いの名前の交換から始まる。

「遅くなってごめんなさい」
 と、ミレーヌが団長室に入ると、父親とエドガーと、そしてミレーヌにとって見たことあるけど名前の知らない人、が座っていた。
 エドガーと名前の知らない人が並んで、父親の向かい側に座っている。

「ミレーヌ」と父親が愛する娘の名を呼び、おいでおいでと手を振るので、ミレーヌは父親の隣に座った。

「今日は何かあったのですか? お父様」

 ミレーヌの名前の知らない人、つまりロビーのことであるが、ロビーは彼女の姿を見て驚くしかなかった。

「だだだだだだ団長の、娘?」
 と、動揺も隠せない。

< 109 / 125 >

この作品をシェア

pagetop