皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
「はい?」
 とミレーヌは返事をする。そして小首を傾ける。何かおかしいことをしたであろうか。それとも、どこか恰好が変なのだろうか。いつもの騎士服なのだが。

「似てない」と小さくロビーが呟いたのを、エドガーはしっかりと聞いていた。

「ミレーヌ。本来であれば、こんな場所ではなくきちんとした場所でやるべきなんだが。仕事もたてこんで私もなかなか帰れず、申し訳ない。エドガーから婚約の申し込みがあったのだが、二人はそういう仲であると思ってよいのだな?」

 そういう仲ってどういう仲? ってミレーヌは思った。が、あのシャノンを助けた日の帰り道を思い出し、赤面する。

 シャノンを助けたあの日、マーティンは彼女に付き添っていた。

 そしてエドガーは衝撃的な事件を目にしただろう、ということでミレーヌを屋敷まで送ってくれたのだ。そして、もう少しで屋敷に着く、というところで。

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