皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 さて、第五騎士隊が派遣されたのは、国境の辺境、それも昔から魔物が多くいるともいわれている辺境だった。先に第三騎士隊が派遣されていたのだが、天候にもめぐまれず、魔物との戦いに苦戦していたようだ。そこに応援として、第五騎士隊が派遣されることとなった。もれなく五人の騎士見習いつきで。五人のうちの一人がミレーヌということになる。

 第五騎士隊が現場にたどり着くと、第三騎士隊の面々はテントの中で寝込んでいた。何があったのか、とマーティンが確認をする。この第三騎士隊についているはずの魔導士たちの姿も誰一人と見当たらなかった。
「君たちはここで待つように」とマーティンは自分の隊へ一言指示を出す。指示を出された第五騎士隊の隊員たちは、そのテントの外でビシっと整列をし、姿勢を正して待っていた。

「何があった」と 第三騎士隊の隊長がいるであろうテントに、彼は足を踏み入れた。そこに入ると、むわっと血の匂いが立ち込めていた。
「マーティン隊長」と声をかけたのは、第三騎士隊の副隊長。
「遠くまで足を運んでいただき、ありがとうございます」

「すまん、この状況が理解できない。何があったか説明してくれないか」
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