皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました

　ただ、エドガーも冷たい人間ではないのだ、とマーティンは思っていた。
　彼は、任務意外に興味が持てないだけ、と。
　そんなエドガーは、困っている人をすぐ助けるマーティンを目にすると、任務でもないのによくやるな、と思っていた。

「そんなに人から好かれたいのか？」
　マーティンの人助けとも言える行為がたまに目につくと、エドガーはそんな言葉を発した。
　彼は笑って「困っている人を助けて、なぜ悪い？」と、言う。

　困っている人を助ける？　任務でもないのに？　とエドガーは思った。その感覚が彼にはわからないらしい。

「人からありがとうと言われたら、こう、心があたたかくならないか？」
　とマーティンは言う。

　言葉で心があたたかくなる？　また、変なことを言う奴だ。それが、エドガーのマーティンに対する想い。とにかく変な奴だ、と。

　逆にマーティンは、エドガーが寂しいヤツであると思っていた。きっと彼は自分の感情をうまく表現することができないのだろうな、と。

　だからなのか、正反対の二人にも関わらず、お互いがお互いに興味を持ち、助け合い、毒を吐きつつ現在に至る。