皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 黒い髪は長く美しく。そして切れ長の黒い目。ちょっと不愛想な顔。よく言えば、クール。そして何よりも、父や兄には無い別な何かが溢れている。

 エドガーも命の恩人であるミレーヌを見つめた。

 マーティンの妹、と言っていたよな? と、思いながらも彼女を見つめる。

 二人の視線が絡まり合う。

「おい、二人の世界を作るな」

 そこでマーティンが口を挟んだ。

「いや、本当に貴様の妹なのか?」

「なんだと?」

「似ていないにも、程があるだろう」

「あの、エドガー隊長」とそこで口を挟んだのはミレーヌ。
「視力の回復魔法も必要でしょうか?お兄様と私は、このつぶらな目がよく似ていると言われております」

 そう言われるとそうかもしれないが。でも、そうじゃない。こう、全体的にそうじゃない。
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