皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 ――ミレーヌ、お兄様からのお誘いも断ってはダメよ。

 つまり、エドガーと兄と、三人で建国祭へ行けということか? とミレーヌは思ったが、そうじゃなーい、という天の声からの助言によって、日にちをずらして行けばよい、という結論に至った。

「お兄様からのお誘いはとても嬉しいのですが、今年はお友達からも誘われました。ですから、いつにいたしますか?」

 建国祭は数日にわたって開かれている。エドガーから誘われたのは、その数日のうちの最も人出の多い日、つまり、お祭りが一番盛り上がる日。

「何、ミレーヌにも友達がいたのか。それは良かった。友達を大事にしなさい」

 どうやらミレーヌには友達がいない、と兄に思われていたようだ。
 まぁ、実際に騎士科の同学年の女子学生は数人しかいない。彼女らも卒業に向けて、今年は騎士見習いとして、祭りの警護に借り出されることだろう。

 女性騎士は人数が少ない割には、需要がある。また、回転率も速い。国としてもこの需要と供給のバランスの悪さと、回転率の速さは問題である、と捉えているのだが。なぜか、騎士科を選ぶ女性が少ない。特にある年になると一気に減るらしい。そのある年に該当するのが、ミレーヌが騎士科を選んだ年の前後。
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