皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 ミレーヌは彼に気づかれないようにそっと後ろから声をかける。
「お待たせしました、エドガー隊長」
 驚くかな、と思っていろんな期待をしていたにも関わらず、さすが騎士隊隊長。気配で察していたらしい。

「今日は、わざわざ来てもらって悪かった」
 驚きもせず、エドガーは少し顔を緩めてそう言った。

「いいえ。私も、隊長からお祭りに誘っていただけて、とても楽しみにしていました。ありがとうございます」

 ミレーヌはペコリと頭を下げた。まとめていない部分の髪の毛も一緒に、ペコリと揺れる。

 普段は高い位置で一つに縛られている彼女の髪も、今日は後ろ側の上の一部分の髪だけを結んでいる、いわゆるハーフアップという髪型。以前の元気な印象とは違い、可愛らしい感じがする、とエドガーは心の中で思った。
 
「その」とエドガーは口元に手を当てる。
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