皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
「しかし、ミレーヌ。いいのか?」
兄が口を挟む。
「何を、ですか?」
「王族の婚約者候補にかすりもしないぞ? 婚約者は魔導科から、と決まっている」
そう、決まっている。昔から決まっていること。もちろんミレーヌも知っている。
「はい。存じております。その婚約者候補になりたくないから、騎士科に行くのです」
彼女の本音が駄々洩れしてしまった。王族の婚約者になりたくない、という本音が。もう少し包んで口にすべきだったか、と思ったがそれを取り繕うかのように。
「私は、お父様やお兄様のような騎士と結婚したいのです」
また、ぴしっと姿勢を正して、今度は兄の顔を見据えてミレーヌが言った。
兄が口を挟む。
「何を、ですか?」
「王族の婚約者候補にかすりもしないぞ? 婚約者は魔導科から、と決まっている」
そう、決まっている。昔から決まっていること。もちろんミレーヌも知っている。
「はい。存じております。その婚約者候補になりたくないから、騎士科に行くのです」
彼女の本音が駄々洩れしてしまった。王族の婚約者になりたくない、という本音が。もう少し包んで口にすべきだったか、と思ったがそれを取り繕うかのように。
「私は、お父様やお兄様のような騎士と結婚したいのです」
また、ぴしっと姿勢を正して、今度は兄の顔を見据えてミレーヌが言った。